障がい福祉事業における原状回復工事の注意点とは何でしょうか?
原状回復工事とは、
テナントが退去するときに入居時の状態に戻すための工事
のことです。
賃貸契約で物件を借りる時、この原状回復工事をめぐって頻繁にトラブルになります。
このようなトラブルの可能性は障がい福祉事業でも変わりません。
その上、障がい福祉事業の場合は特有のトラブルの可能性があります。
この記事を読むと、障がい福祉事業の原状回復工事におけるトラブルのポイントや、防止するための防止対策が分かります
これまでいくつもの障がい福祉事業の運営に関わってきましたが、頻繁に原状回復工事の時のトラブルを伺います。
ただ十分に気をつけて対策を立てておけば防げますので、今回はそのような防止対策も含め説明いたします。
障がい福祉事業の原状回復工事の注意点とは?
障がい福祉事業の原状回復工事における大きなトラブルの可能性は、
消防設備の撤去・処分
です。
障がい福事業を開業するためには、そのサービスや物件の現状にあった消防設備を設置しないといけません。
・スプリンクラーの設置の有無、種類、費用はどれくらい?
・消化器の設置の有無、種類、費用とは?徹底解説
・屋内消火栓設備は設置が必要?種類や費用は?
・火災通報装置の設置は必要?その費用は?
・自動火災報知器の設置の必要?費用は?
そこでもし賃貸するテナントに消防設備がなければ、追加でテナントに設置する必要があります。
それゆえそのテナントで障がい福祉事業を辞める場合は、こうした消防設備も原状回復の対象になります。
ただし注意すべき点は、
消防設備の撤去・処分費用は通常の原状回復費用より多額になる
ということです。
多額になる理由は、
・複雑な配線設備
などがあり、撤去に専門知識が必要だからです。
特にスプリンクラーや自動消火装置は壁面に配管を組み、複数穴を開けるなど多くの改変をしているので、それら消防設備を戻すにも相応の費用がかかってきます。
トラブル防止の対策とは?
これまで説明してきたような原状回復工事におけるトラブルを防ぐには、
契約書で負担を明確にする
という基本的な対策が有効です。
特に、
・誰が費用を負担するのか
・居抜き退去ができるか
・入居当初の消防設備等の確認
という点を確認いたしましょう。
先ほどお伝えしましたように障がい福祉事業は消防設備の撤去が必要になるため、壁面内も工事しなければなりません。
従って壁や天井のコンクリートがむき出しの状態に戻すので、一般的な原状回復工事より費用がかかるので、その点も留意した上で契約書を作成する必要があります。
障がい福祉事業でテナントを借りる場合、基本的に原状回復工事はB工事(=費用は借主負担)と呼ばれる工事にあたります。
その理由は壁や天井、空調設備や防災設備、照明器具などについて、借主の希望によって元の状態から変更を加えたり、増設・移設したりする工事だからです。
まとめ
障がい福祉事業を開業するためにテナントを借りる場合は、行政の指導により利用者保護のための設備を十分に備えねばならず、現状に手を加えることが殆どです。
特に消防設備の導入は大きな工事にもなるでしょう。
それゆえに障がい福祉事業用の物件を借りる時のポイントは、
貸主としっかりと契約書を作成し、原状回復についてお互いの取り決めを明記する
ことです。