障がい福祉事業を開業するときに「確認済証」が無い場合はどうすればいいのでしょうか?
「確認済証」とは、
建築確認申請書を提出し、建築する建物が建築基準法や条例などに適合していて問題ないと確認された場合に発行される書類
です。
すなわち、「確認済証」があるということは、その建物の安全性が保証されていることにつながります。
それゆえに国の給付により成り立つ障がい福祉事業の開業条件に「確認済証」を具備していることが求められます。
けれども「確認済証」が無い物件は現実には沢山あります。
この記事を読めば、障がい福祉事業の開業予定の物件に「確認済証」が無くても諦めず、その場合の出来る限りの対処法が分かります
これまで弊社にも開業を予定されている事業所さまから「確認済証が無くて役所が開業不可と言っているがどうしたらいいの?」とご相談をいただくことが度々ありました。
そこでこちらで開業申請業務を受任し、役所と代案を議論することで「確認済証」が無くても指定申請できた場合がいくつもございます。
そこで本日は、そのような開業予定物件に「確認済証」がない場合の対策をお伝えいたします。
「確認済証」が無い場合はどうすれば?!
当たり前ですが賃貸して開業する場合は、やはり貸主さまに何度も確認してもらうようお願いいたしましょう。
けれども古い物件ですと、やはり「検査済証」がない場合があります。
そこで、
貸主も不動産仲介会社も「検査済証」なんて見当たらないと言っている場合は、どうすれば良いでしょうか?
という疑問が出てきます。
ちなみに「検査済証」の再発行はできません。
でも実は諦めないで解決策を模索すれば、「検査済証」は無くても障がい福祉事業の指定を受けることはできるのです。
建築計画概要書の確認
まずチェックすべきは、
その物件が過去に「建築確認」や「検査済証」を発行されたのかどうか
です。
つまりそもそも違法な建築で「建築確認」すら認められなかったのであれば、もはや障がい福祉事業の開業はできないと諦めるのが近道です。
けれども過去に「建築確認」や「検査済証」を受けているが、現在手元に証明書がない場合は可能性があります。
そこで役所の建築指導課に伺って「建築計画概要書」の閲覧を申し出ましょう。
つまりこの「建築計画概要書」に「検査済証」を受けている旨が書かれてあるかチェックするのです。
このように過去の事実を確かめることが、「検査済証」が無くても対処できるスタート地点です。
オススメ解決法:証明書の発行
そして「建築計画概要書」を確認し、かつて検査を受けて認められていたことが分かれば次のステップに移ります。
それは
建築指導課などに相談して、かつて「検査済証」を受けていた旨の証明書を発行してもらうこと
です。
先ほど申しました通り「検査済証」の再発行はできないのですが、かつてそれを発行したという記録があれば証明書を出してもらうことは可能です。
この証明書とは「建築基準法第6条第1項の規定に基づく確認済である旨の証明願」により取得することができます。
またその物件の登記事項証明書を持参し、新築してから増築した部分がないなどの説明を付け加えると説得力があるものになります。
「確認済証」が無い場合の他のデメリット
これまで説明したように「確認済証」がなくても、「建築基準法第6条第1項の規定に基づく確認済である旨の証明」により障がい福祉事業の指定申請をすることはできます。
けれども、このような「確認済証」が無い場合の対処法は時間が少しかかってしまいます。
だから「確認済証」が無い場合は、どれだけ早く動けるかがポイントになります。
「確認済証」が無い場合、別のデメリットも存在するからです。
そこで次にこうした別のデメリットをご説明し、巨視的な視野を持って「確認済証」が無い状態に対処いたしましょう。
融資を受けにくい
まず「確認済証」が無いということは、その物件の安全性が確かでないということです。
従って障がい福祉事業の開業ができるかどうかわからないので、銀行はそのための融資に消極的になります。
ただ銀行による融資は欠かせない大切な支援です。
それゆえに「確認済証」が無いということは、事業そのものを支える銀行融資の可否にもつながってくるので、早急に対応する必要があるのです。
用途変更ができない
「確認済証」が無ければ200㎡以上の用途変更もできません。
障がい福祉事業を開業する予定の建物では、使用面積が200㎡以上である場合は「用途変更」をしないといけません。
・【おすすめコラム】障がい福祉事業の物件は用途変更する必要があるのか?
しかしこの「用途変更」は多くの時間と費用がかかります。
すなわち「用途変更」が必要な場合で「確認済証」が無ければ、
「確認済証」を確保 → 「用途変更」の手続きに移る
ので、当初の事業計画のスケジュールから大幅に修正しないといけません。
従って物件を探している時点で「確認済証」の有無はしっかり把握しておく必要があります。
まとめ
・建築基準法第6条第1項の規定に基づく確認済である旨の証明願を発行してもらう
・融資の可否や用途変更の必要性について注意しておく
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