障がい福祉事業で「用途変更」は必要か?その費用や最悪のケースも解説

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障がい福祉事業を始めるのに、開業予定の建物の「用途変更」の手続きは必要でしょうか?

用途変更とは建物/物件の「用途」を変更する際に必要な手続きです

各建物には建築した時から「用途」が決められていて、自分の建物がどの「用途」かは登記簿で確認できます

例えば【住宅→店舗】と建物の利用方法に変更する場合、ある条件に引っかかれば「用途」を変更する手続きを取らなければいけません。

すると【住宅→障がい福祉事業所】と建物の利用方法を変えれば、同じく「用途変更」の手続きを取る必要があるでしょうか?


この記事を読むと、どの条件を満たせば開業予定物件の「用途変更」をしなければならないかがわかり、その場合の費用の目安もつきます


障がい福祉事業の開業申請をする時、ただサービスに必要な人員や体制が備わっているかだけがチェックされるのではありません。

このような開業予定の物件が障がい福祉事業に適正かどうかが確認されます

これまで多くの障がい福祉事業の開業をお手伝いしてきた中で、このような観点にあまり配慮されていない方もいらっしゃったので、以下の説明を是非参考にしてください。

障がい福祉事業を始めるのに「用途変更」は必要か?

「用途変更」をすべきかどうかは、建築基準法に従って判断いたします

建築基準法は、その「用途」に照らして建物の種類を分類しております。

そして障がい福祉事業の建物は、別表第一で定められた「特殊建築物」に該当いたします

そこで出てくる疑問は、

特殊建築物へ変更する場合、どのような条件で「用途変更」が必要になるのか

です。

この条件さえ守っていれば「用途変更」は必要ではなくなるので、まずこのポイントを確認してみてください。

面積が200㎡超かどうか

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物件を障がい福祉事業として使用するときに、「用途変更」が必要かどうか判断する基準は至ってシンプルです。

つまり、特殊用途として使用する面積が200㎡を超えているかどうかです。

そう、障がい福祉事業開業予定の物件の使用面積が200㎡を超えていないのであれば「用途変更」の必要はありません

ただ、このような開業予定物件の面積の確認の仕方には注意してください。

というのも、現在の時点で登記簿に記された面積が正確かどうかは不明確だからです。

200㎡を超えているかどうか正確に知りたい方は、建築士に依頼して平面図を作成してもらって建物の図面を正確に知る必要があります。

そして単に建物の面積をチェックするのではなく、障がい福祉施設として使用する面積はどれくらいかを確認してください。

つまり使用する面積がポイントになりますので、仮に1階は200㎡以下でも

2階や3階を一緒に使用しその合計が200㎡を超えていれば「用途変更」の対象になる

のでご注意ください。

類似の用途なら「用途変更」は不要?

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「用途変更」が必要かどうかは、その使用面積が200㎡を超えているかどうかが分岐点でした。

すると200㎡を超えている物件なら必ず「用途変更」が必要かというと、やはりその例外はあります

その「用途変更」の例外とは、建物を類似する用途へ変更する場合です

例えば老人ホームからグループホームに変更する場合、たとえ200㎡を超えていても「用途変更」の手続きをする必要がありません。

というのも福祉施設という同じ用途の範疇で内容だけを変えたことになりますので、「用途変更」における手続きと調査は必要ないということです。

従って、ある程度の規模の物件ですが「用途変更」の手続きを避けたい時は、同種の事業が行われていた物件を探してみてください。

その類似の物件取得の場合、「用途変更」は必要ありませんので面積は気にしなくていいのです

「用途変更」の費用はいくらかかるのか?

使用面積が200㎡を超えているかどうかという観点から「用途変更」が必要かどうかが分かったと思います。

そして仮に障がい福祉事業を開業するには「用途変更」が必要になったと考えてみましょう。

すると疑問に思うのは、

その「用途変更」の手続きにはいくらかかるの?

という点ではないでしょうか。

そこで「用途変更」の費用について概要を説明いたします。

80万円〜100万円

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まず結論から申しますと、「用途変更」の手続きにかかる費用は一般的に80万円から100万円かかります。

このような高額の費用になるのには理由があります。

まず「用途変更」は建築基準法により「建築士」にのみ許された手続きです。

つまり「用途変更」とは、専門的な知識を持つ者が実地調査を重ねて可能となる手続きです

そして図面と現地を照らし合わせて新しい用途に適正か、また違法性がないかを調査いたします。

修繕箇所などが発見されれば、新たに工事などを行う必要があります。

それが終わって用途変更申請書を提出し確認済証を受け取って「用途変更」は基本的に終了です

すなわち「用途変更」とは書類上の記載を変えるのではなく、実際はこのような改装工事のようになってしまうため、費用が高額になります。

費用の変動の原因

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障がい福祉事業など福祉関係施設は、自力で避難するのが困難な方がいる想定されています。

従って厳密な審査となり「用途変更」の費用が上がります。

その他にも「用途変更」の費用が高くなったり、低くなったりする原因として、次のようなケースが想定されます

・路面店でない場合

・火を使う場合

・長期間、大勢の人が集まる場合

このようなケースに該当すると、開業予定の物件の「用途変更」の費用は高くなってしまうのでご注意ください。

「用途変更」ができない最悪のケース

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「用途変更」をする必要があるので取り掛かってみたものの、実はそもそも「用途変更」が出来なかったという最悪のケースもあります。

それを見分ける一つのポイントは「検査済証」があるかどうかです

もし仮に「検査済証」がなければ、その物件は違法に建築された可能性もあり、建築の実態が分からず、「用途変更」そのものすら出来ない可能性があります

実際に流通している物件で「検査済証」がなくても売買されている事例もありますので、物件を契約される際にはご注意ください。

またビル内で開業される場合、そのビル全体が検査の対象になる点にも留意ください。

例えば、いわゆる雑居ビルなど、用途変更が必要な階層以外の所で勝手に改装され避難が難しい形状になっている場合、それらを修繕せねばならず、最悪の場合は「用途変更」出来ないこともあります。

+α消防設備の費用

障がい福祉 不動産

「用途変更」の手続きにおいて開業予定の物件を調査する際、消防設備の有無も対象になります

ただ消防設備に関しては消防法に基準が定められているので建築基準法とは別です。

特に開業予定の障がい福祉事業によって、要求される消防設備の種類が異なることに注意してください

「用途変更」の手続きにおいて、このようなふさわしい消防設備を具備していることが申請の条件になります

つまり実質的に「用途変更」を完了する費用に、消防設備に関わる費用も含まれることを忘れないことが大事です。

まとめ

福祉 不動産 物件

・「用途変更」が必要かどうかの基準:使用面積が200㎡を超えているかどうか

・200㎡を超えていても「類似の用途」なら用途変更は必要ない

・費用は8〜10万円+消防費用


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