障がい福祉事業に関する公的機関が発表するデータから、民間にとって有益な指標を手に入れることはできないのでしょうか?
数回に渡って厚生労働省の統計データの活用法を紹介しており、本日は「障がい福祉サービス等従業者処遇改善状況調査」を扱います。
この統計データの目的は次のとおりです。
本調査は、障害福祉サービス等の報酬改定が障害福祉サービス等従事者の処遇改善につながっているかどうかを調査・分析し、報酬改定の事後的検証を行うことを目的とする。(https://www.mhlw.go.jp/toukei/list/shougaihukushi_service_chousa02a.html#link01より)
こうした従業者への加算手当ての影響を確認するデータですが、私たちはこのデータを活用し、次のことを導きます。
これまで多くの障がい福祉事業所とお付き合いする中で、従業員に対する給与や労働環境のことでお悩みのところを多く見かけました。
障がい福祉業界は慢性的に人が足りておりません。
・労働環境としてどのような体制を整えておくと求人に役立つの
本日はそんなお声にお答えしたいと思います。
「障がい福祉サービス等従業者処遇改善状況調査」から何がわかる?
「障がい福祉サービス等従業者処遇改善状況調査」は処遇改善加算の影響を確認することから、処遇改善加算を取得している事業所の割合やその職種別の効果などを測定しています。
こうした調査は公的機関による給付額を調整する点では有益ですが、民間の事業所のビジネスにとっては少し縁遠いものとなります。
ただ次の2点は障がい福祉事業所の雇用形態の適正化に役立つのでチェックしてみましょう。
基本給の額がわかる
この統計データは職種別に加算を反映させた給与額の一覧を掲載しています。
例えば、福祉・介護職員は〜円とか、サービス管理責任者は〜円とかいうように、具体的な数値が記されています。
こうした業種別に具体的な給与額がわかってしまうのは、国の給付により成り立っている事業の特徴ですね。
統計活用のポイント
・そして在籍スタッフの給与額と比較し、不当な引き下げがないかチェックする
・統計データから求人する業種の職種別の給与額を確認する
・募集時にその金額を基準に給与を記載する
・地域の他事業所の給与額と比較し、こちらの給与が低い場合は再考する
求められている労働環境がわかる
この統計データには、障がい福祉事業所の各事業所がどのような労働環境の改善を行ったか分かります。
というのも、処遇改善加算を獲得する時に、「処遇改善状況」を設定しないといけないからです。
従って、どのような労働環境改善に力を入れているのか、統計データからわかってしまうのです。
統計データの活用法
・そして自分の事業所の労働環境の状況と比較する
・中でも「介護福祉士等の資格取得」に力が入れられているので、自分の事業所も資格取得支援をしているか確認する
・求人の際に統計データから実施比率の高い労働環境の設定をしているとアピールする
・地域の他事業所と比較し、こちらの労働環境が劣っている場合は再考する
統計調査の更なる活用に向けて
事業拡大を目指す事業所
障がい福祉事業の費用のうち、大半は給与に消えてしまいます。
それだけ障がい福祉事業はどのような人を雇うかによって、事業の成長は左右されてしまいます。
良い人材を集める基準はいくつもありますが、その中で大切なのは「適正な給与を支払っているか」です。
ただ、国の給付で成り立つ障がい福祉事業は、給与額の改善のために次のような特徴があることを知っておくことは重要です。
事業所の増設を検討している事業所
障がい福祉事業は単一の事業所だけ経営していては利益の幅が少ないのが現状です。
そこで障がい福祉事業の経営安定化のために多事業所の経営は避けられません。
では事業所の増設を検討する時に大切なのが、どのようなスタッフに働いてもらうかの求人の検討です。
その給与の他に労働環境が適正に保たれているかも大切ですが、その整備のために国の給付で成り立つ障がい福祉事業は次のような特徴があることをお知りおきください。