「障害者相談支援事業の実施状況等について」から何がわかるか

障がい福祉 不動産 統計 データ

地方自治体や官庁が発表するデータから、障がい福祉の民間事業所にとって有益な指標を得るには、どのようにすればいいでしょうか?

地方自治体や官庁が発表するデータは主に政策立案が目的で、障がい福祉事業に関する様々なデータを集めます。

それゆえに、他の事業では中々集めにくいデータが国の給付で成り立つ障がい福祉事業では簡単にアクセスできます。

そこで今日は厚生労働省が発表した「障害者相談支援事業の実施状況等について」という資料を扱います。

この記事を読めば、自分の障がい福祉事業所の立地が相談支援という点で、利用者集めに充実しているかどうかが判断できるようになります。

これまで多くの障がい福祉事業所をサポートする中で、周辺に存在する「障がい者相談支援事業」が充実しているかを確かめていない方をよく見かけました。

本日は、そのような事業実施地を下見する上で重要な指標を探るデータをご紹介いたします。

「障害者相談支援事業の実施状況等について」から何がわかる?

この統計の目的は「相談支援事業の実施状況の調査」であり、扱う項目も「事業所の数」から、「委託形態」や「支援スタッフの数・資格」、そして「実施方法」や「利用者数」まで多岐に渡ります。

このような調査は国の政策立案には有効ですが、民間にとって役に立つ指標は取捨選択しなければいけません。

「基幹相談支援センター」の数

「基幹相談支援センター」とは、地域の相談支援の中核的役割を担い、地域の実情に応じて相談支援業務を総合的に実施する機関です。

つまり障害者の相談支援としては最も総合的な施設であり、この「基幹相談支援センター」が近くにあるということは事業所経営にとって重要です。

統計活用のポイント

・全体で39%の市町村しか設置されていないことを確認

・自分の事業所近辺に「基幹相談支援センター」があるか確認

・なければ最短の「基幹相談支援センター」を探す

指定特定相談支援事業所の数

「指定特定相談支援事業所」とは、障がいをお持ちの方の基本的な生活相談に加えて、サービス利用計画を作成したり、それを定期的に見直したりして支援いたします。

つまり「指定特定相談支援事業所」が近くにあるということは、障がい福祉サービスを提供する上で心強い味方になってくれるのです。

統計活用のポイント

・全国で10,202事業所あり、各県には約217事業所あることを確認

・自分の事業所近辺に「指定特定相談支援事業所」があるか確認

・なければ最短の「指定特定相談支援事業所」を探す

「指定一般相談支援事業所」

「指定一般相談支援事業所」とは、障がいをお持ちの方の基本的な生活相談に加えて、退院後の地域に移行し、その地域に定着する支援を行います。

まさに「指定一般相談支援事業所」があれば、これから障がい福祉サービスにつながる潜在的な利用者がその周辺にいることが分かります。

統計活用のポイント

・全国で3,377事業所あり、各県には約71事業所あることを確認

・自分の事業所近辺に「指定一般相談支援事業所」があるか確認

・なければ最短の「指定一般相談支援事業所」を探す

更なる活用に向けて

これから開業・開業直後の事業所に便利

障がい福祉事業をこれから開業する事業所、または、あまり利用者が見込めない開業直後の事業所にとって便利です。

どのような形態であれ、「障がい者相談支援事業」は利用者を斡旋してくれる重要な拠点です。

それゆえに自分たちの事業所が、全国規模のデータと比較して、そうした支援事業所との関わりに恵まれているかどうかを確認することは重要です。

特に「指定特定相談支援事業所」の数には注目いたしましょう。

障がい福祉サービスを提供するにあたって、必須の「個別支援計画書」などの作成で、慣れない中でも多くのアドバイスを頂けると思います。

「基幹相談支援センター」とは権利擁護で連携する

また経営が軌道にのっている障がい福祉事業所でも、「基幹相談支援センター」が周囲にあってどの程度連携を取れているか確認していただけると安全です。

令和3年度の報酬改定により、準備期間を経て「虐待防止」や「権利擁護」に関して厳格な対応が求められるようになりました。

そこで「基幹相談支援センター」はこれまで虐待防止の対応や、成年後見を促進するなど権利擁護にも長年取り組んできました。

これから各事業所において新しい報酬改定に沿った組織体制を作っていく中で、「基幹相談支援センター」の場所や数などを把握していくことは、信頼される障がい福祉事業として大切なことです。


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