障がい福祉事業の基本資料である「福祉行政報告例」から何がわかるでしょうか?
「福祉行政報告例」の目的は次の通りです。
本調査は、社会福祉関係諸法規の施行に伴う各都道府県、指定都市及び中核市における行政の実態を数量的に把握して、国及び地方公共団体の社会福祉行政運営のための基礎資料を得ることを目的とする。
このように「社会福祉行政運営のための基礎資料」ということで対象とするテーマも多岐に渡るので、調査事項も次の通りです。
それではこのような大量のそして様々な統計データが詰め込まれている「福祉行政報告例」から何がわかるでしょうか?
この記事を読めば、「福祉行政報告例」から都道府県ごとの障がい者数の動向がより詳細につかめるようになります。
内容が色々とあり、どこから読んでいけばわからないかもしれませんが、この基本的な「福祉行政報告例」の数字を理解していると他の資料と比較参照することができて、事業拡大の分析に役立ちます。
福祉行政報告例とは?
「福祉行政報告例」は基本的に「月報」と「年報」に分かれます。
そして「福祉行政報告例」が扱う主題は多岐に渡りますので、障がい福祉に関する箇所だけ抜き出してご紹介いたします。
月報
「福祉行政報告例」の月報は障がい福祉関係について、「障害児福祉手当等受給者の状況」と「特別児童扶養手当受給者の状況」を報告しています。
「障害児福祉手当」とは、重度障害児に対する一定額の給付のことです。
「特別児童扶養手当」とは、障がいを持つ子どもを養育している父母に支給される手当です。
ポイントはこのどちらにも世帯の所得制限があり、つまり手当の受給数は生活が苦しい世帯数も意味していることです。
統計データの活用法
・対象地域の「障害児福祉手当等受給者」と「特別児童扶養手当受給者」の数を確認する。
・前年度比を確認し増減について調べる
・地域全体の障がい者数の割合を確かめる
年報
「福祉行政報告例」の年報は障がい福祉関係について、主に「身体障害者手帳交付台帳登載数の年次推移」と「療育手帳交付台帳登載数の年次推移」を報告しています。
「身体障害者手帳交付台帳登載数」は肢体の障がいだけでなく知覚・言語も含む総数を言います。
また療育手帳とは知的な障がいをお持ちの方向けのものであり、従って年度毎のその数が記されています。
統計データの活用法
・対象地域の「身体障害者手帳交付台帳登載数」と「療育手帳交付台帳登載数」の数を確認する。
・前年度比を確認し増減について調べる
・地域全体の障がい者数の割合を確かめる
福祉行政報告例のオススメの活用法!
児童向けの障がい福祉事業所の方
「福祉行政報告例」を有効活用できる事業所さまは、児童向けの障がい福祉事業所さまでしょう。
特に月報における「障害児福祉手当等受給者の状況」と「特別児童扶養手当受給者の状況」が役に立つでしょう。
先ほども申しましたがこの手当を受給するには世帯単位の所得制限が条件にあるので、受給者数は即ち生活が苦しい世帯数に近くなっているのです。
もしそのような地域であった場合、このような生活に苦しい世帯の方々に対する支援を一層強化するため、単一の児童系の障がい福祉サービスだけでなく複合型を目指して活動いたしましょう。
そして対象となる児童の方が成人しても障がい福祉サービスの支援が途切れないように、成人系の障がい福祉事業を新しく組み合わせてもいいかもしれません。
また忘れてはいけないのが、このような世帯の方々への支援は地域の福祉団体と協力して行う必要があるので、地域におけるイベントへの参加や町会活動などにも力を入れてみましょう。