福祉事業のための農園を整備するために補助金などはあるのでしょうか?
農業の人手不足が課題となっている中、期待されているのは障がい福祉事業の人材の活用です。
農業に携わる平均年齢は約67歳で、就業人口もこの20年間で半分に減っております。
そこで現在、期待されているのが「障がい者の就業促進」です。
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こうして農地を借りる制度については理解しても、いざ事業に取り掛かろうとすると、
農地を障がい福祉事業で使えるように整備するのに費用はいくらかかるの?
という疑問があるのではないでしょうか。
そこで朗報は、福祉事業で使用するために農地を整備するなら補助金があることです。
この記事を読めば、障がい福祉事業で農業を始めるときに活用できる複数の補助金について知ることができ、開業準備を円滑に進めることができます
これまで特に就労継続支援関係の事業所さまとお付き合いしてきた中で、農業との連携に興味を示されるのですが、資金面の課題で断念したというお話を伺ってきました。
そこで本日は、障がい福祉事業と農業を連携させる新しい試みのための、資金繰りのコツをお伝えしたいと思います。
福祉用の農園を活用するための補助金とは?
障がい福祉事業で農地を利用するとき、既に整備されていて環境が整っている場合は問題がないでしょう。
しかし設備等が古かったり必要な補助具がなかったりと、障害者の方が利用するには困難があったりする場合が少なくありません。
そんな時に、
もし農地を整備することへ補助金があれば大変助かる!
と思うでしょう。
これからそのような福祉用の農園整備にあてられる補助金を紹介したいと思います。
施設を整備するための補助金
ご紹介するのは農林水産省が提供する「農山漁村振興交付金」です。
その中に「都市農村共生・対流及び地域活性化対策」という部門があり、そこの
農福連携対策 (福祉農園等整備・支援事業)
という対象に該当いたします。
この農福連携のための補助金の中に施設を整備するための補助金が含まれております。
(内容) | (交付率) |
・福祉農園や附帯施設(トイレ、洗い 場、資材置き場等)の整備を支援 ・福祉農園で生産された農産物を加工・ 販売する施設の整備を支援 | 2分の1(200万円〜) |
この施設を整備するための補助金を活用した例は次のようなものがあります。
・水耕栽培ハウスの建設
・加工処理場の建設
連携支援のための補助金
次に同じく「農山漁村振興交付金」の中に、農業と福祉事業を連携させるために充当される補助金があります。
要約すると、先ほどの設備整備のための補助金は主にハード面の支援でしたが、この連携支援の補助金はソフト面の体制作りに役立ちます。
(内容) | (交付率) |
・農産物の生産・加工技術の研修/実習/視察等の取組を支援 ・販売・経営手法等習得を行うための取組を支援 | 定額(上限は150万円) |
この連携支援のための補助金を活用した例は次のようなものがあります。
・木工技術の習得
・牡蠣養殖籠の補修
人材育成のための補助金
続いて同じく「農山漁村振興交付金」の中にある、未経験者が農業を行うための人材育成にあてられる補助金をご紹介いたしましょう。
この福祉用の農業を促進するための人材育成には2つの種類があり、
種類1 ジョブコーチ育成・派遣支援事業
障がい者が農業就労に定着するよう、障害特性を踏まえて作業指示できる人材育成
種類2 施設外就労コーディネーター育成支援事業
障がい者に適した農作業を探し、施設外就労で利用してくれる障がい福祉事業所を探す人材育成
に分かれています。
それぞれの詳しい内容や交付率などについて確認していきましょう。
種類1 ジョブコーチ育成・派遣支援事業
(内容) | (交付率) |
・講師への謝金/旅費 ・研修会場使用料 ・先進地視察経費等や人材の農業経営体への派遣に係る経費(報酬、交通費等) | 定額(上限は400万円) |
この人材育成の補助金を活用した例として次のようなものがあります。
・キャベツ栽培の実地研修費用
・有機野菜の栽培についての公民館使用料
種類2 施設外就労コーディネーター育成支援事業
(内容) | (交付率) |
・養成研修等などの講師への謝金/旅費 ・研修会場使用料 ・先進地視察経費等(報酬、交通費等) | 定額(上限は400万円) |
この人材育成の補助金を活用した例として次のようなものがあります。
・柿の収穫という施設外就労の紹介
・アスパラガスの出荷作業という施設外就労の紹介
農福連携のためのその他の補助金
これまで福祉用の農地を活用するための補助金「農山漁村振興交付金」について説明いたしました。
ただそれぞれの補助金には上限と期間が限定されていて、事業者さまにとって満足できるかは確かでありません。
そこで、
その他にも活用できる補助金があれば知りたい!
と気になるのではないでしょうか。
いくつか障がい福祉と農業に活用が期待できる補助金がありますので、それらをお伝えいたします。
農山漁村振興交付金
この「農山漁村振興交付金」とは、農村や漁村を活性化するための整備に必要な費用を補助してくれる制度です。
つまり福祉用の農地整備という限定的なものではありませんが、
その農福連携によって周辺地域全体が活性化する
という条件があれば活用できる制度です。
(内容) | (交付率) |
・農山漁村への定住/都市との地域間交流の促進を図るために必要な施設等の整備を支援 | 2分の1 |
荒廃農地等活用促進交付金
こちらの「荒廃農地等活用促進交付金」も、障がい福祉事業で農業を開始する時に使用できる可能性のある補助金です。
具体的には使用されておらず荒れている農地を活用するために必要な費用を補助してくれる制度です。
従って福祉事業に活用することは限定されていませんが、それを目的として整備することへの費用は行政が代わりに負担してくれるのです。
(内容) | (交付率) |
・農業体験施設(市民農 園等)の整備に対する支 援 | 2分の1 |
まとめ
日本の農業を守ために障がい福祉事業の活躍が期待されているので、助成金制度も複数用意されています。
農作業をする設備のためというハード面から、農業と福祉の連携強化のためのソフト面まで、充実した補助制度が整っています。
ぜひ「農業をしたいけれどお金が、、、」と悩んでいる障がい福祉事業所さまは、資金の助成制度を活用してみましょう。