農福連携の一つのあり方として注目されている「施設外就労」とは何でしょうか?
農業に未経験な障がい福祉の事業所さまが、農業を始めるカタチは数パターンあります。
その中で費用もリスク負担も少なく農業を始められるパターンが「施設外就労」です。
この記事を読めば、「施設外就労」を始めて運営するためにどのような準備をすればいいのか、未経験者でも一から分かり、更にオススメの「施設外就労」の探し方も分かる
これまでお付き合いのある障がい福祉事業所で農業を開始したところは、殆ど「施設外就労」という形式を選んでいます。
ただ「用意する書類はこれでいいの?」「このような体制を整えているけど大丈夫?」といった不安の声が多く寄せられています。
そこで本日は障がい者福祉事業でも農業を始めやすい「施設外就労」について解説いたします。
農福連携オススメ:就労外就労とは?
「施設外就労」とは、就労支援型の障がい福祉事業で提供されるサービスの一つです。
就労支援系の障がい福祉事業所は、自立した社会生活が出来るように知識・能力が向上するよう訓練を提供いたします。
こうした訓練の提供は基本的に障がい福祉事業所内で行われますが、場合によっては事業所の外、つまり「施設外就労」が提供されます。
そこで気になるのは、
特別扱いの「施設外就労」の場合は、支援の仕方にも何か特別なルールがあるのでしょうか?
という点ではないでしょうか。
そこで「施設外就労」をするために気を付けるポイントをご紹介いたします。
施設外就労の利用者人数と支援者配置
「施設外就労」であっても、基本的には就労系の障がい福祉事業所が自分の施設で支援する状態と変わらないことが大切です。
そこで「施設外就労」の利用者人数と支援者の配置には、以下のポイントに気をつけましょう。
・最低定員を1名以上で総数は事業所が定める定員を超えない
・報酬算定の基準で必要とされているスタッフ数を配置する
注意すべきことは、
「施設外就労」で派遣している間に自分の事業所でも同数の数の利用者を受け入れられる
という点です。
報酬の適用単価については、主たる事業所の利用定員に基づいて報酬単価を適用してください。
施設外就労先の企業との関係
「施設外就労」にあたっては施設外就労先の企業と契約書を作成し請負契約を結んでください。
そして請負契約作成の時に以下のポイントに気をつけてください。
・作業の完成についての財政上及び法律上のすべての責任は事業所が負うと明確にする
・施設外就労先から事業所に支払われる報酬は、完成された作業の内容に応じて算定される
・施設外就労先の企業から作業に要する機械や設備を借りる場合、賃貸借契約又は使用賃借契約を締結する
・施設外就労先の企業から作業に要する材料等の供給を受ける場合、代金の支払い等の必要な事項を定める
就労先の企業と請負契約を結びますので、ここで間違えてはいけないのは、
「施設外就労」において利用者への指導は自分の就労支援事業所のスタッフが行う
ことであります。
就労支援事業所のスタッフと就労先の企業のスタッフが共同して支援にあたってはいけません。
障がい福祉事業所内の体制整備
「施設外就労」は例外的な支援内容でありますから、通常の障がい福祉事業所とは違った体制を整備しないといけません。
就労継続支援のサービスを行う上で必要となる書類等を以下のように整えてください。
・運営規定に施設外就労について明記する
・施設外就労の規則を定める
・施設外就労を含めた個別支援計画を作成する
・施設外就労における訓練目標の達成度の評価を行う
・施設外就労の実績を毎月の請求にあわせて行う
・施設外就労実績報告書を作成し翌月15日までに役所に提出してください
施設外就労のマッチングの方法について
「施設外就労」を始めるにあたって、これまでお伝えしてきた就労支援系の事業所の体制整備などをすることは前提になります。
そこで次に、
農業関係で「施設外就労」を始めるためにどのように探せばいいの?
ということが疑問になると思います。
そこで次に「施設外就労」の簡単なマッチングの方法についてお知らせいたします。
社会福祉協議会や役所の相談窓口へ
農業で担い手を探している方々は、最初から障がい福祉事業所と連携することを決めていることは少ない印象です。
多くの方は、どうしたらいいかという悩みを社会福祉協議会や役所に相談しているケースが殆どです。
そこで農業で「施設外就労」を希望している方は、直接農家さんを聞いて回るのではなく、社会福祉協議会や役所に相談してみましょう。
また直接的に農家さんと繋がって「施設外就労」を始めていくことが難しいのは、別のハードルがあります。
その困難な理由とは、
農家さんが障がいについて必ずしも十分な知識を持っていない
からです。
障がい福祉事業所を利用する方はそれぞれに障がいの特性があり、作業の向き・不向きがはっきりと存在します。
従って自分の事業所の利用者さんが農業の全ての作業にふさわしいことはなく、個別のケースによって最適な作業は異なってきます。
この障がいをお持ちの方との適切な作業のマッチングは難しいので、困っている農家さんや障がいのことを理解している地域の社会福祉協議会や役所に相談してみることが一番というわけです。
まとめ
農業と福祉の連携の始め方としてお勧めは、施設外就労からスタートすることです。
ただし施設外就労先の企業や工場との請負契約や、事業所内で施設外へ派遣するにあたっての業務管理は注意する必要があります。
人手不足の農業の世界に障がい福祉が活躍できるよう、この記事が少しでも参考になれば幸いです。