神戸市でグループホームを開業するために小規模の宅地を転用しようと物件を探しているのですが、福祉施設なので建築基準のハードルが高いと聞きました。
開業予定物件を選ぶ時にも参考にしたいので、小規模な宅地で障がい者グループホームを開業するための建築基準について教えてもらえませんか?神戸市の独自ルールもあればご教示いただきたいです。
障害者グループホームは災害時に避難しにくい方が入居する前提で考えられているので、普通の建物よりも建築基準や消防の設備基準が厳しくなっています。
更に各自治体の地域性や歴史から独自の規制もあるのが見落としがちなポイントです。
本日はその具体的な基準と注意点、さらに有効な対策などをご説明いたします。
- 小規模な宅地をグループホームに転用する際の基準がわかる
- 神戸市の小規模宅地の転用の独自基準がわかる
- 内見時に確かめるポイントがわかる
(一般)小規模宅地をグループホームへ転用する基準とは?
障害者グループホームを開業するための物件は建築基準法や自治体の独自ルールで多くの制約を課されます。
<最近の傾向>
ただ現在は政府の方針として小規模の空き家を福祉施設に転用するなど緩和措置が取られており、各地でグループホーム事業を始めるチャンスとも言えます。
不動産屋さんに問い合わせてもグループホームの基準を中々理解してもらえませんでした。いくつか物件の紹介もしてもらったのですが正直不安があります。
小規模な宅地をグループホームとして利用する時に建築のどの点に気をつければいいですか?
グループホーム事業について詳しくない不動産屋さんだと少し探すのは大変かもしれません。。
グループホームに対する規制は利用者保護の観点からとても細かいポイントもありますので、しっかりとご説明したいと思います。
用途変更が必要かどうか
障がい者グループホームは用途の区分として「寄宿舎」であり、どこの自治体であれ「住宅」である小規模の戸建を転用しようとする時はその用途の変更が必要かどうか検討する必要があります。
・【確認】障がい福祉事業で「用途変更」は必要か?その費用や最悪のケースも解説
<確認>
用途変更をするかどうかの基準は使用総面積が200㎡以上かどうかです。
しかし使用総面積が200㎡未満でも建築基準法により、小規模の住宅の活用には制限が設けられています。
福祉事業は物件の安全性を通常以上に十分に確保するしないといけないからです。ではその基準をご説明いたしましょう。
建物各所の基準をチェック
小規模の建物を使って障がい者グループホームを開業するには、該当建物の各所が基準に適合しているかチェックする必要があります。
・【総まとめ】小規模の宅地をグループホームへ転用する基準を徹底解説!
(観点) | (規制内容) |
避難方向の確保 | 避難できる階に通じる直通階段を 2 箇所以上設置する。(直上階の寝室の床面積の合計が 100 m²を超える場合) |
階段 | 階段寸法を幅75cm以上 、蹴上げ22cm【23cm】以下、踏面21cm【15cm】以上とする |
内装 | コンロ(IH を除く)など、火気を使用する部屋の壁と天井を燃えにくい材料(準不燃材料)で仕上げる |
窓 | すべての居室において、天井から下方 80cm 以内にある開放できる窓の面積を各居室の床面積の 1/50 以上確保する |
通路 | 居室(寝室除く)と避難経路に非常時に点灯する照明を設置する |
屋外避難通路 | 建物の出口から道路に通じる幅員 0.9m 以上の屋外避難通路を設ける |
住居内区画 | 寝室と寝室、寝室と避難経路、火気使用室とその他の室とを耐火性能を有する壁で区画し、その壁を天井裏又は小屋裏まで到達させる |
障がい者グループホームを開業するために小規模の宅地を転用する際には建築基準法の規制を細かく守必要があります。
ただ物件の広さや備える消防設備の用件、立地の状況によって上記で記した規制の内容が異なってくる場合がございますのでご注意ください。
より詳細に規制内容を確認されたい場合は自治体の建築課や建築士にご相談ください。
【グループホーム設立】神戸市独自の基準とは?
次に神戸市内でグループホームを設立する際には独自の規制があることをご説明いたします。
(グループホーム設立の独自ルール?)
各自治体ごとに障がい福祉の歴史や地域性、また福祉施設設立に対する考え方の違いから、グループホーム設立に対して自治体ごとに独自の規制があります。
障がい者グループホームを開業する時に自治体独自のルールをきっちり守ることが見落とされがちです。
仮に用途変更などしない場合は自治体の建築課のチェックも平面図のみなど、簡便なものになり自治体の独自ルールまで守っているかは確認されないこともあります。
ただ監査指導の時に物件をチェックされて明らかに規制無視の部分があるとするとトラブルになるのでご注意ください。
階段及び踊場の幅の規制の強化
(条件) | (規制内容) |
直上階の居室の床面積の合計≦100㎡ | 階段及び踊り幅を0.9m以上 |
100㎡<直上階の居室の床面積の合計≦200㎡ | 階段及び踊り幅を1.2m以上(屋外は0.9m以上) |
<次の規制を満たす場合は例外>
・耐火建築物、準耐火建築物等であること
・スプリンクラー又はパッケージ型自動消火設備を設置すること
・居室の壁や天井を難燃材料で仕上げ、各居室から地上に通じる廊下や階段を準不燃材料にすること
・屋内全てで火器の使用がなく、居室から出口まで30m以内(※2階なら階段まで15m)であること
階段や踊り幅の規制は神戸市で小規模宅地をグループホームに活用する際に要検討の箇所です。
築古で小規模の宅地は階段が狭いことが多く90cmもあるところが少ないのが実情です。
そこでオススメなのがキッチンをIHに変えて居宅全室で火器の使用を禁止にすることで例外的に階段幅が狭くても基準をクリアすることです。
(もっと知りたい!)
・小規模の戸建住宅をグループホームへ:建築基準法の条件や注意点を解説
廊下幅の規制強化
(条件) | (規制内容) |
各階における居室の床面積の合計≦200㎡ | 片側居室は廊下幅を0.9m以上、両側は1.2m以上 |
<次の規制を満たす場合は例外>
・耐火建築物、準耐火建築物等であること
・スプリンクラー又はパッケージ型自動消火設備を設置すること
・居室の壁や天井を難燃材料で仕上げ、各居室から地上に通じる廊下や階段を準不燃材料にすること
・屋内全てで火器の使用がなく、居室から出口まで30m以内(※2階なら階段まで15m)であること
同じく廊下幅の規制強化は、障がい者グループホーム用の物件を探す時の難点になります。。
片側居室だと0.9mですが住宅用に作られている場合は足りない場合が多々あります。
不動産仲介会社も理解していないケースもありますので自分で測りを持って計測されることをおすすめいたします。
(もっと知りたい!)
・階段の取り扱いの注意点とは?寄宿舎の要件や注意点を解説
旗竿地に対する規制強化
(条件) | (規制内容) |
道路に接する長さ | 4m以上 |
屋外の出入り口と道路の関係 | 道路に通じる幅≧3m /奥行≦20mの道路に面する(幅4m以上なら奥行20m超) |
旗竿地は防災予防の観点から建築基準が厳しくなります。
特に道路に接する長さが足りていない候補物件が多く、一見するとグループホームに最適に見えても自治体の独自基準では不適格な場合があります。
不動産仲介会社も理解していない場合もありますので問い合わせの段階で各種条件お聞きすることをおすすめいたします。
まとめ
神戸市で障がい者グループホームを開業するための物件について、その独自の規制のルールがしっかりとわかりました。ありがとうございます。
特に廊下幅や階段など見落としがちなポイントも理解できたので不動産屋さんや工務店にしっかり聞きたいと思います。
ご参考になって何よりです。ぜひおすすめなのが内見時に測りを持っていき自分で確かめてみることです。
建築時から増築・改装している場合があり必ずしも平面図が信頼できるものでないケースもあります。
自分で調べられるところはしっかりと確認して、第三者に任せきりにせず、自分達のグループホーム事業計画に相応しい物件を選んでいただければ幸いです。